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ブログトップ > アーカイブ - 2016年11月

屋根の美学

2016年11月6日(日) 〇  

9月下旬に無事上棟式を迎え、現在は秋晴れの中順調に外部の工事を進めているCome On A-Yoro Houseでは、大きな平屋の大きな屋根の瓦工事が終盤に差し掛かっています。そもそも屋根は建物の印象や性能を左右する大きな要素です。今回は少々時間を巻き戻して一連の屋根工事を特集したいと思います。

161021-瓦職人達

屋根の断熱材にはスタイロフォームを採用しています。発砲系断熱材全般を"スタイロフォーム"と呼んでしまう風潮がありますが、こちらが"元祖"スタイロフォームです。等級はBIII、厚みは100mmで、他の発砲系断熱材と比べて費用対効果に優れています。建方の段階で水平構面を成す構造用合板の上に敷き込みますので施工性も良いと思います。100mmの断熱材に対し高さ120mm通気垂木で嵩上げし、断熱材と野地板の間に20mmの通気層を確保します。通気層には、夏の暑さを室内に伝えない働きと、室内や木構造から発生する湿気を籠らせず排出する働きがあります。寒暖の差が激しい上多湿の日本では屋根の通気層は欠かせません。

161007-野地板

続いて瓦工事です。現場での瓦葺き開始から遡ること10日、加子母にある(有)安江瓦店さんの土場では軒先の一文字瓦を削り合わせていました。一文字軒のシンプルでシャープなラインの精度を出すために必要な一手間です。

161014-一文字刻み

こちらが屋根の瓦下地。中島とつくる家の瓦葺きの標準は、桟木を組む「乾式工法」です。対して屋根に土を乗せてその上に瓦を葺く「湿式工法」もありますが、耐震上、防水上の優位性から最近では乾式が主流です。まずは屋根面に流れ方向で流れ桟を打ち、万が一瓦の下に入り込んだ雨水が真っすぐ軒先まで流れるようにします。そしてその上に瓦桟を打ち、これに瓦を一枚一枚止め付けて行きます。この整然と並ぶ縦横の格子には萌えます。が、残念なことにあくまでも下地でして、瓦を伏せてしまうと見えなくってしまいます。その下の白いシートがルーフィング(屋根用の防水紙)で、セーレン社の「ルーフラミテクトRXです。ルーフィング本来の防水性能のに加えて透湿と遮熱性能があります。水の粒子よりも細かく湿気の粒子よりも粗い繊維でできていて"防水透湿"と、いわゆるゴアテックスのような構造です。

161021-瓦下地

こちらは耐震棟。棟木に直接止め付ける棟の骨格で、これ鉄筋を緊結して、それに棟瓦を一枚一枚止め付けます。1995年の阪神淡路大震災の復興をお手伝いした際に、棟瓦がそのままの形で庭先に転がっている状況を目の当たりにし、棟瓦自体の強度に加えて屋根自体と一体にすることの重要性を痛感して以来「中島とつくる家」の標準になっています。

161021-耐震棟

こちらがザ換気II。先ほど紹介した屋根の通気層を上って来た湿気を含んだ空気がこの換気棟より排出されます。内部が立体的な迷路のようになっていて、空気は出るが雨水は流入しない仕組みになっています。

161016-ザ換気II

こちらはゲヤピア。換気棟と同様で、屋根面を上って来た空気を壁との取り合いから逃がすための部材です。この下屋換気は業界では棟換気ほど重要視されていないような気がします。

161014-ゲヤピア

さて、いよいよ瓦葺きです。瓦の種類は三州本いぶしです。比較的安価な陶器瓦は断面がレンガ色ですが、こちらは表面と同様に鈍い灰色です。瓦を全数ステンレスビス止めするのが「中島とつくる家」の標準です。瓦1枚ごとにビスで止める施工方法が一般的ですが、こちらは倍近い手間が掛かります。来るぞ来るぞと言われている東海・東南海・南海地震の際にその真価が証明されることでしょう。

161026-全数ビス止め

こちらが軒先の一文字瓦。先ほど述べた通り事前準備にも一工程余分にかかる上、ラインを出しながら葺くのにも余分に手間暇が掛かります。その分その繊細な仕上がりには惚れ惚れします。

161029-軒先一文字

防水、透湿、通気、断熱、施工性、耐久性、そしてもちろん意匠性。屋根は建物の中でも特に重要な部分であり、故に工務店のこだわりや気質が最も顕著に現れる部位なのかもしれません。

中島 大地

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Author:terrajapan
1974年9月20日生まれ
寅年・乙女座・O型

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