青い山脈の町未来創生会議が主催するドイツ研修ツアーの行程二日目。午前中は、ドイツ企業経営の筆頭学者であるハーマン・サイモン先生によるご講話を拝聴し、午後は先生の提唱する”隠れたチャンピオン企業”2社を訪問しました。

サイモン先生(サイモンはニックネーム、ドイツ語では"ジーモン"のような発音)のマーケティングコンサル会社サイモン・クハー&パートナーズは世界32か国にオフィスを持ち、日本でも10年程前にオフィスを開設しました。昨年には中津川市の熱烈な信者の熱烈なリクエストに応えて中津川市でも講演しています。又、今年10月にも講演が予定されています。

以下、先生のご講話の掻い摘みです:
2030年までに特に中国が発展しそう。アメリカもまだ成長しそう。EUは三番手か(イギリス離脱でも)。インド・ブラジル・ロシアは思ったほど成長しないであろう。中国・アメリカ・EUの1部リーグに対して日本・ドイツ・インド等の2部リーグのような分布になり、グローバルビジネスでは1部リーグへの進出を考えるべき。
EU離脱のイギリスは前途多難。前ロンドン市長が次期首相選挙に出馬せず現在リーダー候補不在。EUは離脱に好意的でなく、海外企業も欧州本部を大陸に移し始めるであろう。EU内の結束が再確認される好機。スコットランドの独立気運が再燃しそう。日本への影響はさほどではないがアジャストメントも必要。
2050年までの世界情勢は、サハラ砂漠南側の国々が爆発的な成長を遂げる。イスラム諸国は人口増加。インドの人口増加は134%で中国にかなりの差をつける。欧州・ドイツ・日本・ロシアは人口減少。人口減少が世界市場への積極的進出を進める。
グローバル化の”汽車に乗る”べき。世界人口の増加は食料需要の増加、この産業は引き続き成長しそう。
日本とドイツは地理的条件も違い容易に比較できないが、フランスやイギリスと比べてもドイツの輸出は工業製品を中心に品目の幅も広く強力。ロシアはオイルとガスに依存しており価格変動の影響を受ける。
ドイツの強みはイノベーション(革新)、国内雇用・食料自給率、人件費の安定。中心地の分散・職業訓練・国際化志向は強みだが、低起業率と移民の統合が課題。
ドイツでは従業員満足度が高い。ストライキが少なく、それが人件費安定の理由にも。役員会に従業員の代表1名が義務。従業員の声がトップに通りやすく、お互いが企業を成長させる自覚につながっている。「どうせ働くならば利益を上げたい」というドイツ人気質も強み。
日本の出生率向上政策は無理だろう。女性が長く働ける社会も興味深いが長期的にはやはり無理。高齢化と人口減少には移民の受け入れが鍵。
人口減少問題は日本だけでは解決は難しい。EUのようなアジアでの同盟を模索すべき。中国からの影響も重大で、(30年の内に再統合されるであろう)朝鮮半島も機会に。フランスとの戦争の過去を清算したドイツから日本も学ぶべき。
イギリスは冷戦後の東欧からの難民を受け入れすぎたのが現在の問題。ドイツの難民受け入れ体制も見直しが必要。
続いて、サイモン先生が示す日本経済の復興の鍵です:
日本は輸出が優秀、但しドイツに比べればまだ余裕がありそう。
大手企業に集中する傾向の改善を。ドイツは中小企業が輸出量を上げている。
大手のみならず中小企業も革新力を。
生産力を国内で保つべき。価格競争への知恵を。
中小企業が世界に出るための国の援助が必要。
次世代が若い内に外国に派遣しグローバル・リーダーの育成を。
中小企業は大手企業を通さず、直接貿易することが重要。中小企業の魅力を上げる。さらに顧客に近く。
起業家精神の改善が重要。
学校教育と職業訓練の両立を。
従業員とリーダーが重要。人材確保には外国人が住みたい日本になるべき。
日本は強く、機会にも恵まれている国。

午後に訪れた"隠れたチャンピイオン企業"の2社もとても参考になりました。その模様は次回ご紹介したいと思います。
中島 大地 〇