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ブログトップ > アーカイブ - 2014年11月

どこにいても。

2014年11月15日(土)

先日ジョンさんがオーストラリアより送ってくれた林産業の専門誌Australian Wood Reviewの記事Every Step of the Wayの翻訳を試みました。いきなりタイトルでつまづきました。概ねの意味が分かっても実際に日本語にするのは難しいものです。意訳を交えてなんとか完成させました。

141114-AWR

どこにいても

日本の林業と建設会社に触れた2日間で全体像を知る
ジョン・トテンホファー

日本を訪れたことがあるならば誰でも社寺や住宅建築に用いられる木材加工技術を知ることができるであろう。

先日の日本への旅行の際、私達夫婦と同僚は幸運にも北アルプスに位置する加子母にある建設会社中島工務店に招かれた。加子母はヒノキとスギに囲まれた美しい流域にある。

中島工務店は、付加価値に対する考えを新しい水準に押し上げている。温かい蕎麦を昼食に頂いた後、中島社長は私達を森に案内してくれた。ここでは80年から120年の周期で森林施業をしている。名前が書かれた木杭が添えられている若木を見付けた。建て主が自分達の住宅を建てるために使われた木々のお返しにこれらの若木を植えたのである。

麓では木材が用途に合わせて加工されている。直径200ミリから400ミリの丸太から作る構造用木材の木口には芯がある。割れを防止するための背割りが木の芯に向って加工される。天然乾燥や人口乾燥の後、変形を防ぐために背割りに楔が打たれる。

日本建築で用いられる継手は仏教と共に朝鮮半島から伝わった。加工し易く耐久性のある木材が豊富にあること、鉄が不足していること、そして地震が頻発することが複雑な継手の発展へとつながった。人は継手の加工技術を一生かけて習得する。高級なヒノキは社寺建築のために取っておかれ、荒仕上げのまま納品され、手刻みや機械加工で複雑な形状に加工される。修復工事では、大工は既存の材に残された墨を探す。この墨は後世の大工への参考として残されたのである。

競争が激しい住宅産業では、構造材の手刻みは現実的ではないことは明白だ。だから400㎡の工場では、複雑な継手はまずは機械で加工し、そして熟練工が仕上げる。家具職人と見紛うほどにその仕事は複雑で正確である。

この集落は東京と京都の中間に位置し、ほとんどの工事現場へは4時間程度で木材を配達できる。現場では、大きな木製の掛け矢で打って構造を組み、込み栓や専用金物を使って建物を固定して行く。

機械加工で出た廃材は、接着剤のプレス機がある工場2カ所で暖をとるために燃やされる。雪が降るこの地域では温度を保つことは接着剤の乾燥にとって重要である。木材をできるだけ活用するために、短い材はフィンガージョイントされ、ラミネートされ、階段の段板、ベンチの座面、パネル、梁桁、商業建築に用いる大きな湾曲梁などに使われる。

この時すでに外は暗くなり、造作工場を見学することができなかった。それはまた明日。気前の良い中島社長は工場案内では終わらなかった。社員が合流し、素晴らしい夕食を頂き、その後温泉にも連れて行ってもらった。その晩は築200年の社有ゲストハウスに泊まった。

次の日の朝は霧のかかる早朝の集落に流れる優しい音楽で始まった。起床して一日の準備をする時間だと知らせる放送である。4センチもあるトーストとお茶を頂いた後、造作工場へ行き職人達の仕事を見学した。ここでは階段材、引戸の部材などの造作材が加工されている。木材を0.1ミリの薄さで鉋掛けする機械に目が行った。対のローラーが木材を送り、鋭い刃物が木材の表面を木綿のように滑らかに仕上げる。”赤ちゃん肌”と呼ばれるほど滑らかに。

日本の手道具が機械と併せて使われているのは素晴らしい。ずっとここで働いているという職人が、「毎日使っている」という鑿(のみ)を誇らしげに見せてくれた。

目の利く造園家である妻のジェダは、数ある農場の内の一つに目をやった。この農場主は古びた小屋の中にただ機材を保管しているのではなかった。一つの小屋では単純な機械を使ってヒノキの端材から箸を作っていた。同僚のポールが、甘い香りの鉋屑(かんなくず)はこのあとどうなるのかと尋ねたが、少し考えれば牛舎で使われると想像がついた。

果樹園を臨む、日当たりの良い作業場では、父親と息子が神社の内装に用いる彫刻が施された欄間の作業をしていた。私はヒノキを鉋掛けすることができてご満悦だった。幸運にも、長い鉋屑を削ることができ皆笑顔になった。

午後は急な斜面の峡谷を上った。高樹齢のヒノキが神社用に保護されている森へ車で向かう道中、清流が流れ木々が生い茂る峡谷の紅葉を楽しんだ。友人の石川さんは中島工務店で家を建てたが、会社の理念のおかげでこの地域は日本でも独特であると説明してくれた。

社員は高い評価と尊重を持って扱われているばかりでなく、思いやりの考え方が森林資源の管理に生きていると感じた。木材を販売するだけでなく、家づくり全体を販売しているのである。住民が都市部へ移住してしまう集落とは違い、加子母の人口が増えているのはこのおかげなのかもしれない。

中島 大地

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Author:terrajapan
1974年9月20日生まれ
寅年・乙女座・O型

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